※この物語はフィクションです。実際の人物・団体・フォロワー等は関係ありません。
※あと、怒られる前にあらかじめ言っておきますがなんか色々ごめんなさい。
お・ね・が・い♪テッチ、テッチここにテッチ♪あなたから~♪テッチ、手を伸ば~して、受け取~ってよ~♪ため息の数だけ束ねたブーケ~♪
ガランガラン!!
お店のドアが開いた。店のドアを開けたのはとても綺麗な女性だ。
「あれ?誰もいないのかな?」
店内を見回したが、誰もいないようだ。もう一度声をかけてみる。
「おーい、テッチー!お客さんが来てやったぞ♡」
古い、凄い可愛い子なんだけど、なんかちょっと古い。まるでタッチの浅倉みなみちゃんか初代ミニスカポリスを務めたさとう珠緒ポリスくらい古いぞ。
ゴソゴソッ
「お、なんだなんだイナリか」
お店の厨房からひょっこりはんと顔を覗かせたのはこの店「うどん屋南風」の店主テッチこと玉袋テチ夫だった。どうやら可愛い女の子はイナリという名前らしい。
「もう、店開けてるならちゃんと接客くらいしなきゃダメだぞ♡」
いちいち古臭さが鼻につくのだが、今回のところは勘弁してやろう。
「いや、今ちょっと手が離せなくてな…」
コロナウイルスの影響で店内を見渡す限りお客さんなんて一人も居ないのだが…
「え、そんなこと言ったってお客さんなんて一人もいないじゃん」
イナリが強引に厨房の方を覗き込む…
「お、おいバカやめろ」
イナリが厨房を覗いた時、テチ夫はスマホを触っていた。
「え、手が離せないって一体何してるの?ははーん?さては変な動画見てるんじゃないでしょうね?」
息付く間もなく画面を覗き込むイナリ…
「ははっ、今こんな世の中だからさ、お客さんも来ねぇし」
どうやらテチ夫はスマホで何かゲームのようなものをしていた。
「へぇ~、お客さん来ないからゲームしてたんだ」
・・・
「なぁ、イナリ!ち〇ぽ揃えゲームって知ってる?」
この男はレディに向かって何を言い出すんだろう。
「え、ちょっと何言ってるのキモい」
そりゃそうだろう。男の僕でさえいきなりこんな事言われたら引くと思う。あ、申し遅れましたが、男の僕と言うのはこの記事を書いている筆者の事です。唐突にごめんなさい。
「いや、実は俺このゲームめちゃくちゃ上手くてさ。マジで世界とれるんじゃないかと思ってるんだよね。ち〇ぽが三回で揃うんだぜ」
読んでる人はちょっと何言ってるか分からないと思うが、このゲームは実際にあって僕もやったことがある。僕は確か27回とかそこらだったはずなので3回で揃うというのは本当に凄いスコアだ。
「へぇ~」
イナリは全く興味が無さそうに返事をする。
ちょっとここで、テチ夫とイナリの関係についてお話しよう。テチ夫とイナリは幼なじみであり、家も隣同士だ。かつてテチ夫には双子の弟がおり、双子でイナリを取り合ったりしたものだ。だが、まあ色々あってテチ夫の弟はイナリが飼っていたパンツと言う犬を助けようとして交通事故にあい他界、悲しみの中なぜかテチ夫はなんやかんやあって甲子園を目指すことになる。で、色々頑張って優勝し、プロ野球からスカウトが来るんじゃねぇか的な雰囲気はあったのだが一切来ず、結局のところ諦めて手打ちうどんの店主をやっているのであった。
「今度はち〇ぽ揃えゲームで甲子園目指したいんだ」
この男は何を言っているんだろう。僕には全く理解出来ないのだが、瞳の奥にはギラギラしたものを感じた。
「ふ~ん、いんじゃね?」
突然最近の若者みたいな口調になるイナリ。
「まあそれは置いといて、うどん作ってよ!」
「えっ?うどん?イナリはうどん食いに来たの?」
そりゃそうだろう。ここはうどん屋である。
「当たり前でしょ、釜玉うどん食べたいな~」
テチ夫はムラムラした。
(カマ玉…タマタマ?だと…この女本気で言ってんかよ。カマ玉っつったらアレだろ…工口すぎんだろが…)
テチ夫は昔からちょっと考えすぎるところがある。突然興奮気味に鼻息が荒くなるテチ夫。
「お、おまフンッ、と、トッピングフンッは何か付けるのかフンッ」
イナリはなぜ突然鼻息が荒くなったのか理解できないでいたが、付けたいトッピングを注文する。
「えーとね~、ごぼう天がいいかな!でっかいやつ!」
「へいっ!(お、おいおい正気か?でっかい棒つった今?言ったよね?こいつもしかして誘ってる?絶対誘ってんだろアバズレが!!)」
テチ夫は昔からちょっと考えすぎるところがある。頭の中ではやべぇ事を考えているのだが、こういう時のテチ夫の顔は妙に真剣である。厨房に入っているテチ夫の顔は正に職人の面持ちで、手際よくうどんをうつ姿を見ようとイナリはテチ夫にそっと近づいた。その時である。近くで見ようとしたイナリの胸がテチ夫の肘に当たったのだ…
「お、おふトゥン!!」
鼻から漏れたような謎の言葉がテチ夫から発せられた。テチ夫は昔から唐突にラッキーな事が起こるとこう発するのである。
「え?なになに…おふトゥン?」
(やべぇ、こいつ積極的すぎんだろが!ついつい出ちまった…何とかごまかさないと…)
「あ、いやいや、昔サッカーの日本代表監督にオフト監督っていたじゃん?急にオフト熱が再燃しちゃって…」
ちなみに「うどん屋南風」のうどんは普通のうどんとはちょっと違う。普通うどんと言うのは麺を茹でて出汁スープの中に入れて食べるものだが、テチ夫のやつはなんか違っていた。ここで、テチ夫風の釜玉うどんの作り方について解説しよう。
①麺を打つ②麺をちぎる③手でギュッと握る④握った時に指の間からニュっと出てきた麺を180度の油で揚げる⑤こんがりきつね色に揚がったら皿に盛り付ける⑥目玉焼きを乗せる
これがテチ夫風なのだ。実はテチ夫は一般的なうどんを食べたことがなく、一族に代々伝わるこの作り方でずっと作っていた。要するにうどんじゃないものをうどんだと思っているちょっぴりお茶目ボーイなのである。
「ほれ!釜玉うどん出来たぞー!(間違いない、今日はイケるぞ、絶対イける)」
テチ夫は得意げに釜玉うどん(だと自分では思っているよく分からない料理)をイナリに差し出す。
「やったー、美味しそう!」
イナリもまた普通のうどんを食べたことがなく、釜玉うどんとはこれだと思っていた。店内にはバカな空気が流れていた…そして、筆者的に思うことは店に客がいないのはコロナのせいじゃないってこと。
イナリが美味そうに釜玉うどん(っていう名前がついてる変な食べ物)を食べ終えた時、ついにテチ夫が動いた。
「あのさ、イナリ…おれ、お前のことが好きだ…つ、付き合ってくれませんか?」
・・・
その日はよく晴れた空だった。淡い青春の1ページはこれをきっかけに始まったとか始まってないとか。要するにオチを何も考えてなかったということである。
何だろう…この読後の不快感。
To Be Continued…
フォロワーのてっちさん(@killtime_tetchi)が釜玉うどん(っぽいもの)を作ってくれました!興味ある方はぜひこちらもご覧下さい↓
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